ただし、勤労感謝の日の休場を挟んだ週の翌週は昨年まで2年連続で日経平均はマイナスパフォーマンスとなっていることは気掛かりだ。この配当再投資の動きと並行して、年末とクリスマス休暇を控えた機関投資家のポジション整理の売りが一時的に高まる傾向がある。30日はMSCI日本株指数に絡む機関投資家の銘柄入れ替えの売買による一時的な波乱が生じる可能性もあることには留意が必要だ。
一方、22日発表の米新規失業保険申請件数が労働市場の底堅さを示したことや、ミシガン大消費者信頼感指数の確報値が上方修正されたことをきっかけにドルの買い戻しが強まっている。一時、1ドル147円台中盤まで進行した為替が円安傾向に転じることで、下値抵抗感も増してくることが想定される。
翌週8日のメジャーSQと米11月雇用統計発表を控えて、週後半にかけては神経質な展開となり、引き続き日経平均は、33500円を基調の分岐点として、下で推移するか、上で推移するかが騰勢判断のポイントとなってこよう。
日米金利の低下を受けた金融株一服、およびバルチック海運指数の上げ一服から大手海運株調整、自動車中心の輸出関連は為替動向次第とバリュー株物色の方向性は定まりにくくなっている。ただ、年初から好パフォーマンスとなっている日本株に海外投資家を含めた注目が集まる可能性は十分にあり、先高期待は依然根強い。手掛かり難の中、引き続き半導体関連株が物色人気の中心となりそうだ。
「半導体受託生産最大手の台湾TSMCが第3半導体工場の建設を検討」、「SBIホールディングス<8473>が台湾のPSMCと共同、宮城県に半導体工場を新設」、「クラボウ<3106>は熊本に半導体製造装置向け高機能樹脂の新工場を建設」と、国内での半導体投資に関連するニュースが今月に入り、再び増えてきている。製造装置や設備投資関連、技術者派遣といった半導体周辺株に循環物色の輪が広がる。
また、この循環物色の輪にはエヌビディアの決算を受けて東証グロースにも関連株が多い「生成AI」関連も加わることになりそうで、中小型株物色も高まる期待が膨らむ。
今週は28日が11月末権利付き最終日商い、30日に10月鉱工業生産速報、11月消費動向調査、12月1日に10月失業率・有効求人倍率の発表が予定されている。海外では、29日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、米7-9月実質GDP改定値、30日に米10月個人消費支出、米11月シカゴ購買部協会景気指数、中国11月製造業購買担当者景況指数(PMI)の発表がそれぞれ予定されている。