相続税の税額圧縮に有効な「生前贈与」のルールが、来年1月から大きく変わる。親から子への贈与は、1年あたり110万円までの非課税枠(基礎控除)があるため、年数をかけて相続時の財産を減らす「暦年贈与」が相続税対策として広く知られている。現行制度では亡くなる3年前までの贈与が相続財産に持ち戻される仕組みになっているが、この「持ち戻し期間」が来年1月以降、段階的に7年へと延長される。相続税の課税対象が大幅に増えるケースが出てくるということだ。
生前贈与には暦年贈与(暦年課税)とは別に「相続時精算課税制度」という課税方法があり、こちらには来年1月から、「年110万円の非課税枠」が新設されるが、相続発生時に贈与分を遺産額と合計して相続税を算出しなければならず、一度この制度を選択すると「暦年贈与」が使えなくなるデメリットもある。
改正による負担増の懸念にどう対抗すべきか。夢相続代表取締役で相続実務士の曽根惠子氏はこう言う。
「有効な手段となり得るのが、『孫への贈与』です。孫が代襲相続人(注:※被相続人が死亡した時に、本来相続人となるはずである人が既に死亡している場合などに、代わりにその相続人の子(孫)が相続人となること)や遺言で指定された相続人などになっていなければ、持ち戻しの制約は受けません。
つまり亡くなる直前まで年110万円の暦年贈与をしていても、全額非課税になります」