超高齢社会では、経済格差は60歳以降に拡大していきます。定年後に再雇用されても、働けるのは65歳か70歳まで。その後に年金しか頼れない人と、生涯現役で70代、80代になっても働き続けられる人とでは、格差は開く一方でしょう。長寿社会の「老後問題」とは、老後が長すぎるという問題ですから、生涯現役なら問題そのものがなくなってしまうのです。
法人として長く仕事を続ければ信用力がつき、他の会社に取引が広がる可能性もある。収入だけでなく、生きがいも手に入るのです。そう考えれば、定年後こそ会社人生から独立し、より豊かに、よりいきいきと生きることにチャレンジしてほしいと思います。
【プロフィール】
橘玲(たちばな・あきら)/1959年生まれ。国際金融小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』などのほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『貧乏はお金持ち』など金融・人生設計に関する著作も多数。新著『世界はなぜ地獄になるのか』がベストセラーに。
※週刊ポスト2023年12月8日号