キャリア

退職金の受け取り方は「一括と年金」どちらがお得か “退職日を1日遅らせる”ことで手取りを増やせる場合も

Q:一時金・年金・併用。退職金はどう受け取るのがトクか?

A:まずは退職所得控除分を一時金で受け取りましょう

 退職金は多くの場合、一時金として一括で受け取るか、年金として分割で受け取るか、あるいは両者を併用するかを選ぶことができます。単なる受け取り方の違いだけでなく、支払う税金の額が変わるため、注意が必要です。

 退職金の額が退職所得控除の範囲に収まる場合は、一時金で全額受け取るのが最も有利になります。退職金の額が退職所得控除の額を超える場合は、控除を受けられる分だけ一時金で受け取り、はみ出した分を年金で受け取るとよいでしょう。年金で受け取る分には「公的年金等控除」という控除があるので、この範囲内に収まれば超えた分も非課税で受け取ることは可能です。

 公的年金等控除を活用すれば、65歳未満なら年60万円、65歳以上なら110万円までは無税で受け取ることができます。たとえば、勤続年数が40 年で退職金が2500万円の場合、60歳の定年時に退職所得控除を受けられる2200万円を一時金で受け取り、残りの300万円を年60万円ずつ5年かけて受け取ると、公的年金等控除の範囲内に収まるので、全額非課税となる計算です(65歳以前の年金がない場合)。これから60歳を迎える人の多くは65歳から年金の支給が始まりますが、公的年金等控除は60歳から使えるので、この5年間の控除枠を活用すると有利になります。

 ただし、公的年金等控除は年金で受け取る退職金だけでなく、老後に受け取る公的年金や年金で受け取るiDeCoなども対象です。1年間に受けられる公的年金等控除の枠は限られているので、同じ期間に複数の年金を受給すると控除の枠をはみ出してしまうことが多くなる点には注意です。

公的年金等の控除額

公的年金等の控除額

 公的年金を繰り下げ受給して受け取りを遅らせれば、繰り下げている間の公的年金等控除の枠が空くことになるので、退職金を10年受け取りにしても控除を利用しやすくなるでしょう。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。