新NISAと並び、納税額を圧縮して資産を形成できる制度が、毎月ないし毎年、一定額の掛け金を拠出して運用していく「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。
その資金が原則60歳まで引き出せないなどの制約があるものの、それを補って余りある「3つの節税メリット」がある。
まず、掛け金の全額が「所得控除」になり、運用で得られた利益も「非課税」に。さらに、受け取り時にも「退職所得控除」もしくは「公的年金等控除」が適用される。
新NISAでは運用益のみが非課税となるのに対し、iDeCoは掛け金を「払う時」と、年金や一時金で「受け取る時」にも節税メリットを享受できるのだ。
税理士の山本宏氏が指摘する。
「3つの節税メリットのなかでも、特に掛け金の全額所得控除はインパクトが大きい。運用益の非課税のように投資のリスクに左右されず、確実に節税効果が得られる。そのことを考えれば、iDeCoを活用しない手はないでしょう」
では、いったいどれくらい得になるのか。
17.5%の“確定利回り”
まず、iDeCoの掛け金が所得控除になることによる節税効果を試算した。
「iDeCoの掛け金の上限は自営業者が月6.8万円、企業年金に加入していない会社員が月2.3万円など人により異なります。仮に会社員が55歳から60歳までは年収600万円、60歳から65歳までは再雇用で年収300万円の収入があるなかで、毎月2万円の掛け金を拠出していると、10年間で所得税と住民税が約42万円圧縮される計算になります」(山本氏、以下同)