割引商品は損につながるケースもある
「清貧」「質素倹約」は日本人の美徳とされたが、もはやそれは昔の話。節約で、かえって損することすらあるのだ。生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんが指摘する。
「節約に夢中になりすぎて視野が狭くなると、“あの店の卵が3円安い”“こっちの肉は5円安い”などと、小さな金額にばかり目が行くようになる。その数円をお得だと判断して、結局いらないものを大量に買ってしまう人は少なくありません」
ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんも「割引商品は損につながるケースがある」と口をそろえる。
「安いからといって割引シールの貼られたものをカゴいっぱいに買えば、使い切れずにムダにしてしまいます。また、お買い得だと思って大容量のものを買えばたくさんあるからと消費ペースが速くなり、結局また買い足すことになります。それがお菓子やお酒なら、健康を害して医療費がかさむかもしれません。これではお金は貯まるはずがありません」
そうして意味のない“目先の節約”にとらわれ続けていると、やがて通信費やサブスクなど、大きな金額に目が行かなくなってしまう。
そればかりか「新NISAで運用する」「副業を始めて収入を増やす」といった、より大きくお金を増やす方法があるのに、それを実践するどころか検討する余裕もなくなり、いつのまにかお金に嫌われる人になってしまう。
「『お金がない』という状態は、いわば『食べ物がない』という状態と同じ。すると脳がパニックに陥り“このままでは死んでしまう”というアラームが鳴ります。この状況で物事を冷静に考えられるはずがない。その結果、より視野が狭くなり、正しいお金の使い方も難しくなっていく悪循環にはまってしまうのです」(橘さん)
※女性セブン2024年1月1日号