大宮でなぜ日能研が人気なのか?
結局、B子さんは娘を小学校3年生の2月から日能研に通わせた。
「東京と違うのは、大宮だと日能研の勢いがあるところですね。埼玉の遠くのほうや群馬から通っている子もいます。遠距離通塾が多いんですよ。ママたちは毎回、子どもを連れてきて、授業が終わるまで近くのカフェで時間を潰したり、買い物をしたりしています」
日能研の中でも大宮は大規模校舎で、模試の平均点が全国でもトップクラスだという。選抜クラスのTM(トップオブマスター)クラスも設置されており、御三家対策もバッチリできる。
なぜ、日能研がそんなに人気があるのか。
「埼玉全体で見れば、中学受験に熱心な家庭は東京ほど多くないため、受験生のママたちがみんな情報を持っているんですよ。大宮周辺から1時間位内で通える最難関校は開成や桜蔭、豊島岡などですが、そのあたりを狙わないなら、サピックスはオーバースペックと分かっているから、冷静に日能研に入れるんです」
B子さんも娘さんを埼玉の中堅上位の学校に入れようと考えていた。ところがだ。夏前の組み分けテストで偏差値が60を越えた。特に算数の成績がよい。
「夫が“この子は勉強ができるんじゃないか?”って舞い上がっちゃって。豊島岡が狙えるんじゃないかと父と娘で野望を持ってしまったんですよ。そうしたら、ドルヲタの開成高校出身パパから、“豊島岡は算数が難しいので、難関校対策の塾の方がいいんじゃないか”って吹きこまれて、自分でも豊島岡の問題を解いて、その通りだと判断をしたようです。夏期講習からは難関校向けの塾に通おうと言い出したんです」
夫だけの希望ならば反論できるが、娘自身が挑戦したいと言うなら、その意欲に水を差すのは気が引けた。
大宮のエリート塾のママたちの考え方
先に述べた塾銀座・南浦和以外でも、大宮駅周辺も塾が多い。サピックスが大宮と南浦和にあり、Z会ホールディングスの筑駒・御三家対策の塾、Z会エクタスも大宮にある。四谷大塚や早稲田アカデミーなどの大手塾も、もちろん存在する。
そのうちのあるエリート塾にお試しで夏の講習だけ通うことになった。合わないようなら秋からはまた日能研に戻ればいい。エリート塾にお迎えに通う中で、他のママたちと話すようになり、連絡先を交換した。
「その中に同じマンションの専業主婦のママがいたんですよ。彼女は御三家出身らしいんですが、市販の教材の内容にすごく詳しくてびっくりしました。公文やサピックスの市販ドリルの特徴も把握して使い分けをしていて。その人を通して知り合ったママたちも早稲田を出ていたり、国立大学を出ていたり。高学歴な専業主婦が多いんですよ」