通常、TOB価格は、既存の株主が売却に応じやすくするため、現在の株価の30~50%くらいプレミアムがついた価格で設定されます。そのためTOBされた株式を持っている株主は、ラッキー!となります。ただし、必ずしもTOBが成立するものではないので、その点は注意が必要です。とくに買収される企業が買収に反対している敵対的TOBの場合は、買収される企業が買収防衛策を行ったりして、TOBが不成立になることがあります。
保有株がTOBされた場合どうする?
保有株がTOBされた場合の選択肢は3つあります。
【1】TOBに応募する
TOBに応募すれば、TOBの買付価格で売却することができます。ただし、その株を保有している証券会社が、公開買付代理人でない場合は、代理人である証券会社の口座に株を移管して、応募の手続きが必要です。また、買付株数に上限がある場合、自分の株が買付されるかどうかは結果が出るまで分かりません。とくにTOB後も上場維持する場合は、買付株数が少ないため、買付されない可能性が高まりますので注意が必要です。
【2】市場で売却する
一般的にTOBが発表されると対象銘柄の株価はTOB価格近辺まで値上がりすることが多いので、そのタイミングで売却します。TOBに応募する場合は、手間と時間がかかる上、100%成立するとは限らないので、多少TOB価格より低くても、市場で売却するほうがラクと言えばラクです。
【3】継続保有
保有し続けることも可能です。ただし、TOB成立後に上場廃止となるケースでは、信託銀行で換金手続きが必要になることや、保有株式の強制的な買取をされることがあります。その場合、他の株式取引との損益通算ができなくなったり、確定申告が必要となったりします。上場廃止とならない場合は、TOB成立後に、株価が元の水準まで戻ることが多く、こちらも注意が必要です。
3つの選択肢として、いちばん手間がかからず余計な心配がいらないのは、市場で売却することです。
今後も親子上場解消のためのTOBは増加しそうです。TOB狙いで先回りして子会社の株を買っておくのも一手です。