来年1月にスタートする「新NISA(少額投資非課税制度)」に注目が集まっている。非課税投資枠や非課税保有期間が大幅に拡充され、来年から投資を始めようという人も多い。しかし、投資の達人たちは「むしろ買うなら12月までに」と口を揃える。「新NISA特需相場」の“先回り戦略”とは──。
11月に入って日経平均株価は反転上昇。3万3853円という33年ぶりの高値を付けるなど、上昇基調となっている。
大和総研アメリカのチーフストラテジスト、ドイツ証券副会長などを務め、約40年にわたって相場を分析してきた武者陵司氏(武者リサーチ代表)が語る。
「円安によって日本の製造業が息を吹き返し、国内の上場企業全体の純利益は2023年3月期に過去最高水準となり、今後も増える見通し。そうしたなか、日本株は極めて割安な水準に放置されてきたことに海外投資家もようやく気付き始めた。日本株買いはこれからますます膨らむと見ています」
さらに、来年1月には「新NISA」が始まる。本来、投資で得た配当金や売却益には約20%の税金がかかるが、この制度を使えば一定額までは非課税。新NISAでは保有できる非課税枠が1800万円まで拡充され、非課税保有期間も無期限となる。使い勝手が格段に向上するのだ。
各金融機関の新NISA口座開設キャンペーンも盛り上がりを見せ、投資に縁のなかった人たちの関心も高まっている。
投資を始めるなら“お得な制度が使える1月から”と考えがちだが、「それでは遅い」と武者氏は言う。
「来年1月に投資ビギナーによる大量の資金流入が見込まれるのであれば、1月を待たずにビギナーが好んで買いそうな銘柄を先回りして今のうちに仕込んでおく。そうすれば、1月以降の株価上昇による大きな恩恵が受けられる可能性が高い。
“新NISA特需相場”を見越した先回り戦略は、非常に有効な作戦といえます。機を逸してはいけない。今こそが仕込む絶好のチャンスです」