「老後資金2000万円問題」が浮上してからまもなく5年になるが、老後のお金への不安はいまだ続いている。いったい、お金をどうつくって、どう残せばいいのか……そんなときこそ役に立つのが「生命保険」だ。「死亡や病気に備える」だけが保険ではない。「運用」にもうまく活用できるのが、「外貨建て保険」だ。その仕組みを解説しよう。
現在、日本のメガバンクの定期預金金利(1年もの)は0.002%。バブルまっただ中の1985年の金利が5.5%だった頃を思うと気が遠くなるほど、空前の低金利時代だ。もはや銀行にお金を預けていても増えるはずもなく、自宅でたんす預金をしておくのと、何ら変わらない。
一方、アメリカなどでは金利の上昇が続いており、米ドルなどの外貨は4.4~5%もの高金利が当たり前だ。いま、お金を増やそうと考える人は、日本円で払った保険料を高金利の外貨で運用する「外貨建て保険」を賢く使っている。
利率は10年など、一定期間で見直されるまでは加入時の金利が反映される。そのため、いま加入すれば4.4%もの金利がしばらくの間適用され続ける。例えば、保険料として1000万円を払えば、それだけで毎年44万円もの利息が、少なくとも10年はつき続けるのだ。ファイナンシャルプランナーの牧野寿和さんが説明する。
「外貨のまま保有しておけば、外貨の高金利の恩恵を受けて資産が増えやすいだけでなく、資産を分散させることでリスク管理にも役立ちます。株や投資信託とは異なり、外貨建て保険での運用は市場の動向に左右されにくい。何より保険ですから、もしもの場合は保障が得られます」