表参道駅から徒歩5分に位置する、20階建ての高層都営住宅「都営北青山三丁目アパート」に応募が殺到している。同アパートは総戸数302戸で保育園や児童館も併設しており、外観は豪華タワーマンションのよう。賃料は所得等によって変動するものの、2LDKが月6万2000円というケースもあるという。
2019年12月に竣工した物件だが、今年4月から東京都が子育て世代などに向けた都営住宅の入居優遇制度を拡充し、その際に応募が殺到して改めて注目を集めていた。都の担当者は、都営北青山三丁目アパートの人気ぶりについて、こう語る。
「北青山三丁目アパートの定期募集は年に4回行なわれていますが、最も高かった倍率は単身向けでは2022年2月の775倍、家族向けでは2021年5月の579倍でした。それ以降、倍率は少し下がってはいますが、単身向けも家族向けも100倍近い応募倍率になっています」(都営住宅経営部)
では、これほどの人気の都営北青山三丁目アパートには、どのような人が暮らしているのだろうか。同アパートの自治会長・片山秀幸氏に詳しく話を聞いた。
「都営北青山三丁目アパートは、戦後に建てられた青山北町アパートという都営住宅が老朽化の問題から建て替えられた物件です。青山北町アパートで生まれ育った方が100世帯弱、都営北青山三丁目アパートに入居しました。
そのため、ここに住んでいるのはほとんど60歳以上の高齢者なのです。全体の70%ぐらいを高齢者が占めていて、若い方は少ない。ご家族連れの方もいらっしゃるんですが、夫婦でかつお子さんがいる家庭は、数えるほどですね。10%いるかいないかという印象です」
同アパートの居条件は、家族向け賃貸の場合、申込日時点で東京都内に居住していること、住宅に困っていること、所得が定められた基準内であることなどが挙げられている。都のホームページによると、例えば4人家族の場合、世帯の合計所得が0~303万円(年間)というのが所得基準(概算)になるという。