家計

細野真宏氏が解説する「老後2000万円問題」の誤解 最新調査で計算すると「800万円で十分」、平均的な収入の会社員なら「平均的な老後の暮らし」が可能

コロ:今の時代は、1人の世帯や、高齢世帯でも長生きで元気に働いている人も多いけれど、なぜか『夫婦の無職世帯』の場合だけなんだね。

細野氏:そうなんだよ。だから毎月の「支出」については、23万5477円と少し高めに出ているんだ。

コロ:確かに1人の世帯の場合を含めなければ、支出が高めになるのは当たり前だよね。

細野氏:さらに、住民税などの「税金」や「社会保険料」といった「非消費支出」が月2万8240円かかるから、毎月の「総支出」は総額で26万3718円としているんだよ。

 その一方で毎月の収入は「年金」を中心に2人で20万9198円となっているんだ。

コロ:ということは、この平均的な夫婦の場合だと、支出から収入を引いて、毎月5万4520円が足りない状態なんだね。

細野氏:その通りだね。これが「夫95歳以上で妻90歳以上」となる30年間続くとすると、12倍(1年間=12か月)×30倍(30年)で、1962万7200円が必要、という計算になるんだ。

コロ:つまり、夫95歳以上、妻90歳以上生きると、1960万円くらいが必要になるってことだね。でも、そもそも男性が95歳以上長生きする可能性って現実的なの?

細野氏:確かに、65歳になった人が90歳まで生きる確率はどんどん伸びていて、女性の場合は6割が生きるけれど、男性の場合は4割くらいだね。

 さらに、男性の場合は100歳まで生きる確率は5%程度だから、95歳まで生きるケースは、それほど高くはないと言えるね。

コロ:なるほどね。つまり、この1960万円が最大で必要になりそうな金額という感じなのか。

細野氏:そういうことだね。まさに、この1960万円という金額をメディアが「国の試算で老後2000万円が必要に!」と報じることで「老後2000万円問題」と名前が付き、「国が老後に2000万円必要と言っている」という話に置き換わっているんだ。

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