「老後不安」が大きすぎると、どうなるのか?
細野氏:一般に、個人の金融資産は、「引退直後がピークになって、あとは貯金を取り崩していくだけだから、どんどん金融資産は減っていく」ものだよね?
実際に、別掲のような諸外国のグラフを見ても、これは「世界的な常識」だね。「高負担・高福祉」のヨーロッパ諸国だけでなく、「低負担・低福祉」の代表とも言えるアメリカでさえ同じようになっているんだ。
コロ:貯金は、老後に取り崩すために行なっているんだから、当たり前の結果だね。
細野氏:そうだね。ところが、別掲のグラフのように、引退後も金融資産がほとんど減らない不思議な国があるんだよ。実は、この世界的にもおかしな状態の国が日本なんだ。
コロ:うわ~、これは老後になっても、将来が心配で貯金を取り崩さない人が多いっていうことか……。老後に貯金を取り崩さないのなら、一体いつ取り崩すんだろう?
細野氏:これは、冒頭のイラストで見てみると非常にわかりやすいよね。このような「ブラックジョーク」みたいなことが、あまりに将来不安が大きくなりすぎている日本では、実際に起こってしまっているんだよ。
【プロフィール】
細野真宏/経済ニュースをわかりやすく解説した“細野経済シリーズ”が、経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」を記録。首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、『家計ノート』が発売以来14年連続で完売するなど家計管理のプロとしても活躍。シリーズ最新刊は『細野真宏のつけるだけで「節約力」がアップする家計ノート2024』。
※女性セブン2024年1月1日号