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【憧れのハーレー】限定解除せずに乗れるハーレーダビッドソンX350 「ハーレーとしては目を疑いたくなるほどの手頃な価格」

 一方で「こんな小さなバイク、ハーレーじゃない」という声があるのも事実。1970年、日本で公開された映画『イージーライダー』のオープニングシーンに多くの人たちが心を奪われて以来、大排気量のV型ツインエンジンを搭載したハーレーで荒野を独特の鼓動感を全身で感じながら、ゆったりと走ることが、イメージのデフォルトだったかもしれません。

 そしてこれまでのハーレーと言えば、小さくとも排気量900ccほどで、ほとんどのモデルが1000cc以上。さらに車重は軽くても230kg前後と、やはり取り回しなどでは慣れやそれなりの体力も要求される存在でした。限定解除した上に、ハーレーを操るにはそれなりの腕や覚悟がいるわけです。古くからのファンやオーナー達にとってみれば、この「スペシャル感」がハーレーの魅力のひとつだったかもしれません。

 では、今回のX350ですが、ハーレーとしての魅力はないのでしょうか? エンジン排気量は353ccの直列2気筒DOHCエンジン、重量195kgというコンパクトなハーレーで郊外へと乗り出します。

 目の前に登場したX350のスタイルは、フラットなオーバル(だ円状)コースを周回して競うフラットトラックレースで活躍した名車「ハーレーXR750」 のデザインにインスパイアされたもの。ファンにとっても「納得」のスタイルは素直にカッコいい。一般的にハーレーは、ふんぞり返って乗るイメージを抱きがちですが、これはアグレッシブな前のめりが基本のライディングスタイル。

中型ライセンスで乗れる魅力的なバイクが充実

足つき性も良く、信号待ちなどでも扱いやすい。

足つき性も良く、信号待ちなどでも扱いやすい。

 さっそく跨がってみます。シート高は777mmで、足着きにおいても問題なしで、200kgを下回る軽さもあって、信号待ちなどで不安定になることも少なそうです。エンジンをスタートさせると、軽やかに回り始めました。当然ながら大排気量のV型ツインのドッ、ドッ、ドッ、ドッといった低重音の鼓動感はありません。白状すると、この段階では「ちょっと物足りない」と感じたのです。

 ところが走り出して、時間が経過するごとに楽しさが増幅していきます。もちろんV型のビッグツイン並の、まさに蹴っ飛ばされるような加速感ではありません。一方でシフトを適切に使いながら走ると、ビューンといったエンジン・サウンドとともに加速していきます。なによりもこのエンジン、低速から滑らかに回りますから、市街地でも高速でも、モッサリとした感覚は無く、実にレスポンス良く楽しいのです。

 重量だけでなく、エンジンのフィールが軽い、さらに重心の位置が適正なのかもしれませんがバランスがいいことで、軽さがより引き立つのです。多分、この乗り味の良さがあれば、久し振りのライディングというリターン派の人にも満足できると思います。当然ですが数日間のキャンプ用品を積んで、ソロキャンプへと出掛けることも楽にこなしてくれるでしょう。スタイルはハーレー伝統のアメリカンフラットトラッカー、扱いは軽々で楽しいとなれば“憧れの垣根”はけっこう下がると思います。

 さらに注目したいのは69万9800円という価格です。100万円中盤から600万円にもなろうかというモデルまで、高額車が並ぶハーレーの中にあって、これは目を疑いたくなるほどの手頃感。実はX350は中国で生産することで実現できた価格。今となってはサプライチェーンのグローバル化は当然で、中国製だからと言って特別に問題視することはありません。走りでも細部の仕上げでも、そのクオリティにおいても懸念する部分は見当たりません。

 なお、今回はX350と同時に「X500」も登場しています。こちらは大型免許の所有者がいきなり1000ccオーバーのビッグバイクを手にするのではなく、「ほどよい排気量でステップアップを目指す人」に適した手頃感が特長です。基本スタイルもX350と同じで、価格は83万9800円と、こちらも魅力的な存在です。

【写真】前傾姿勢で乗るハーレーだが、伝統は守られている
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