こう語る船越氏が新春の1本として選んだのは、生酒「風の森」(奈良県)だった。
「口開けをした瞬間から味が変化していきます。発泡が最も強い1杯目を楽しみ、空気と馴染んで変化する2杯目以降は食中酒として、最後は甘くなるので食後酒に。1本で3回旨い(笑)。その日の内に飲み切ってほしいという蔵元の強いこだわりで、四合瓶しか販売していません」
永澤店長が「アルコール度数低めの原酒ですが、味にボリュームがある」と紹介するのは、「みむろ杉 Dio Abita」(奈良県)。これには船越氏も、わが意を得たりと相好を崩す。
「香りが華やかな日本酒はワイングラスで飲むことをおすすめします。飲む前の“上立ち香”を楽しむことこそ、日本酒の醍醐味であることを知ってほしいですね。上立ち香を増すため、僕はグラスを回す派です」
■地酒専門店 荻窪いちべえ
住所:東京都杉並区天沼3-3-3 澁澤荻窪ビルB1F
営業時間:17時~23時
休:日曜、1月1~4日。
【プロフィール】
船越英一郎(ふなこし・えいいちろう)/1960年生まれ、神奈川県出身。1982年、俳優デビュー。民放5局で2時間ドラマの主演を務め、「サスペンスドラマの帝王」の異名をとる。芸能界屈指の日本酒好きで知られ、BSJapanextで放送中の番組『おとなの嗜呑』のMCを務める。
取材・文/上田千春 撮影/内海裕之
※週刊ポスト2024年1月12・19日号