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名だたる女性作家に訳されてきた『源氏物語』 紫式部の「身分や立場を飛び越えて想像しようとする力」は今なお私たちを魅了する

今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』で紫式部を演じる吉高由里子

今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』で紫式部を演じる吉高由里子

いまの時代こそ、紫式部の生き方や『源氏物語』が心に響く

 古典エッセイストの大塚ひかりさんもこう指摘する。

「中学生のときから『源氏物語』を読み続けていますが、いつ読んでも何かしらそのときにフィットする部分があります。それは1つには紫式部に身分や立場といった自分の枠を飛び越えて想像しようとする力があったからではないかと思う。強固な身分制があって枠の中で生きざるを得ない当時、そうした紫式部の能力は生きづらさにつながったでしょう。

 しかし優れた文学は不満や抑圧があって、かつそうした抑圧に気がつけるくらいの地位の高さが伴って生まれるもの。平安時代の貴族女性はまさにそんな環境に置かれていました。

 同様に近代から現代にかけての日本も女性の社会進出が進んで建前上は男女平等とはいえ、政治参加をはじめとする男女の格差は大きなものがあります。そんないまの時代こそ、紫式部の生き方や彼女の書いた『源氏物語』は私たちの心に深く響くのではないでしょうか」

 千年の時を経てつながる平安と現在。紫式部の人生を紡ぐ「光る君へ」は「令和の女君へ」送るメッセージでもあるのだ。

(了。第1回から読む

※女性セブン2024年1月18・25日号

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