館内でスタッフがバケツリレー
七尾市は市内全域で断水となっていたにもかかわらず、なぜか加賀屋のトイレの水は流れたという。その裏にも、従業員の心づくしがあった。
「『長旅になりますので行っておいてください』と言われ、トイレをお借りしたら、水が流れました。館内のお堀のようになっている場所からスタッフが水をバケツリレーで運び、1回1回流してくれていたからです。こんな非常時でもお客様のためにここまでするのかと驚きました。
最後まで『お気をつけてお戻りくださいませ』とスタッフたちが次々に声をかけてくれました。バスが出発するときは、スタッフが一列に並び、ドミノのように次々にお辞儀をしてバスの隊列を見送ってくれました。そのスタッフの列は加賀屋の敷地を出た外の道路まで続いており、“おもてなし”を超えた加賀屋の魂そのものを見た思いでした」
一連のポストは、約7.5万いいねの大反響となり、〈読んでいて涙が出ました〉や〈さすが加賀屋〉、〈長く日本一に輝く理由を見た気がします〉といった声が寄せられた。
被災者の心を温めた、おもてなしの心。「加賀屋」の復活を祈りたい。
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