外貨定期預金の注意点
いちばんの注意点は、為替リスクです。外貨預金の預け入れ時点より、満期日のほうが円高になっていた場合、利益は目減りします。金利の利率以上に、為替が円高になっていた場合、元本割れになってしまいます。
為替の変動を予測するのは困難で、年間で20%以上動くこともあります。円安に変動してくれれば、金利+為替差益でダブルでおいしいのですが、円高に変動した際には目も当てられません。外貨預金を始めるのは、なるべく円高のタイミングを狙ったほうが無難です。
ここで難しいのは、1ドルいくらなら円高と言えるのか、ということです。コロナ前は、1ドル=100円台だったので、その頃の感覚だと1ドル=100円を割れたら円高で、110円超えると円安と言えたでしょうが、今や1ドル=145円まで円安が進行しているので、ここから1ドル=100円割れるのは非現実的に感じます。1年間の中で円高のタイミングをはかるとしたら、今年は1ドル=130円半ばくらいまで円高ドル安が進行すれば、わりとよいタイミングでのドル替えになるのではないかと思います。
定期預金ならではの注意点は、中途解約は原則としてできない銀行が多いことです。円高に振れそうになった場合、「満期を待たずに解約したい!」と思っても、すんなりと解約できません。その場合、一般的に預け入れ時点よりかなり低い金利が適用されます。
たとえば大和ネクスト銀行の場合、中途解約した場合の利率は0.01%になります。SBI新生銀行においては、やむをえないと認められた場合のみ、元本金額のみの払い戻しが行われます。つまり高金利のうまみはゼロになるということです。
最後に、為替手数料についても注意が必要です。銀行によって、為替手数料の差が大きいため、金利の高さだけで銀行を選ぶのは早計です。比較的安いのはネット銀行で、住信SBIネット銀行の場合は、1米ドルあたり往復0.12円、SBI新生銀行とソニー銀行は0.3円。メガバンクの三井住友銀行は、往復2円とかなり割高になります。1万ドルの両替だと、往復で2万円手数料がかかるということです。
ここ2年ほどで一気に円安が進行し、今まではあまり為替を気にしなかった人でも、円安についてなんとなく危機感を持っています。そんな中、「預金」という安全なように見えるワードで外貨預金をおすすめする金融機関が増えているようです。外貨定期預金のメリット、デメリットを理解した上で、検討しましょう。