米国の金利水準が高いことから金利に連動する商品が注目されている。その中で、手数料が高いと言われているドル建ての貯蓄型生命保険にも一定のメリットが出てきたという。どのようなメリットがあり、どのような点に留意すべきか。著書『元証券マンが教える 利回り18.5%を実現する米国債投資』(KADOKAWA)が話題の独立系ファイナンシャルプランナー・ようへい氏がシミュレーションをもとに解説する。
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一般的に評判の良くない外貨建て貯蓄型保険(貯蓄性保険)ですが、米国の金利が高くなっている時期だからこそ、資産運用の一つの方法としてドル建ての貯蓄型保険を検討しても悪くはないと思います(良いとは言いません)。
生命保険には掛け捨て型保険と、貯蓄型保険があります。掛け捨て型は毎月一定の保険料を払って死亡保障などの保障を得る保険です。毎月支払ったお金は基本的に返ってきません。
貯蓄型保険とは、保険料を積み立てていく保険で、解約時には解約返戻金、満期時には満期保険金としてお金が戻ってきます。積み立てたお金はいつか返ってくる保険です。
一例としては、終身保険や養老保険、個人年金保険などが挙げられます。貯蓄型保険で支払った保険料は株式や債券で運用されます。イメージとしては、保障と運用が一体化した保険です。
ただし、私を含めた資産運用の専門家は多くの場合、貯蓄型保険をお勧めしていません。なぜ貯蓄型保険が良くないかというと、手数料が高いからです。
一般的に貯蓄型保険は、加入時に「契約時費用」という購入手数料を支払います。加入する保険にもよりますが、外貨建ての場合、この契約時費用が5~10%になることも珍しくありません。つまり1000万円分で加入しても、900万~950万円で運用が始まるわけです。これではなかなか効率的な運用ができないことは容易に想像できるはずです。
さらに言うと、多くの場合は保障内容を維持するためや運用するためのランニングコストも別途かかってきます。掛け捨て型の保険の方がコストは安いため「保障部分は掛け捨て型、資産形成はつみたてNISAを利用して自分で運用する方が投資効率は良い」という理屈です。
しかし、2023年9月現在は米国の金利が高い状況であるため、ドル建ての貯蓄型保険での運用も悪くない選択肢と思われます(あくまで「悪くない」です)。
なぜ、米国の金利が高い状況だと生命保険での運用が悪くないかというと、
【1】保障を確保しつつ市場金利とほぼ同じ利率でロックして運用できる
【2】死亡保障にレバレッジがかかりやすい
の2点が挙げられます。それぞれ解説していきます。