急激な「円安」が進み、1ドル=145円を突破したタイミングで、日本政府と日銀は24年ぶりとなる「為替介入」に約3兆円の資金を投じた。為替相場は即座に5円以上の円高に動いたものの、1週間程度で再び元の水準に戻り、1ドル=150円は目前に迫っている。“伝家の宝刀”とされた為替介入をもってしても焼け石に水という状況で、さらなる物価高につながる「超円安時代」の到来は避けられない。
「円の価値」が下がり続けるなかで、資産の目減りを防ぐための「外貨預金」が活発だ。
日本経済新聞(9月6日付)によると、新生銀行で今年7月に外貨定期預金を新たに始めた人は、昨年の月間平均の8倍に増えたという。今年8月の同行の外貨預金残高は1150億円で、2月から65%増加した。
ネットバンク大手のソニー銀行も、8月の外貨定期預金の新たな預入額が2月に比べて80%増となった。同行のドル預金金利は半年で10倍超に上昇しているという。
なぜ、これほどまでに外貨預金、なかでもドル預金が注目されるのか。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が解説する。
「給与や年金を円で受け取り、そのまま保有して資産を日本円に集中させていると、円安局面では資産価値が相対的に下がります。さらに足元の物価上昇を受け、自身の購買力が低下したと実感する人も多いでしょう。
そこで資産の一部でも外貨で保有しておけば、円安による資産価値や購買力の低下を緩やかにできる効果があります。なかでもドル預金は、円資産を外貨資産に替える第一歩として最適です。現在、米国の金利は日本より高く、ドル預金による高金利が享受できるうえ、預入時よりさらに円安が進めば為替差益も期待できます」
ドル預金を始めるにあたっては、通常の円預金と同じように銀行選びが必要となる。
「預ける銀行を比較するうえでのポイントは、金利と為替手数料です。為替手数料は円からの預入時だけでなく、ドルを円に戻す時にもかかります。往復で2倍になるので注意してください」(森田氏。以下同)
円での預金同様、ドル預金にも「普通預金」と「定期預金」があり、高金利なのは後者だが、その預金金利は銀行によって大きく異なる。
「都市銀行の店頭窓口の金利は『1年ものドル定期預金』でも0.01%と低いですが、ネット銀行のなかには同じ1年もの定期の金利が4%というところもある。高金利を狙うなら、断然、ネット銀行です」