能登半島地震の影響で、約2万人の被災者の避難生活が続いている。災害直後のインフラが不十分な状況で開設される避難所において、車中泊が果たす役割は大きい。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は、自動車ライターの佐藤篤司氏が、車中泊のストレスを軽減するための備えや工夫などの一例を、解説する。
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私事ですが、私の故郷・新潟はこれまでに幾度となく大きな震災被害を経験し、身内や知人の多くは避難生活を経験しています。間断なく続く余震の中で、いつでも逃げられるようにドアを開け、服も着たまま夜を過ごすわけですから、心身ともに休まる時間がありません。
それでもまだ、自宅内で過ごせるなら恵まれているほうかもしれません。家屋倒壊やその恐れがあれば、別棟の施設や避難所での生活となりますが、そこでは感染症の蔓延やプライバシー確保など、色々な問題も発生します。
車中泊で注意すべき点
そんな避難時のストレスを多少なりとも軽減してくれる手段のひとつが「車中泊」。その車中泊を安全に、少しでも快適に過ごすためには、とくに「エコノミークラス症候群」と、この時期であれば「寒さ対策」について考えなければいけません。
まず、多くのメディアで取り上げられている「エコノミークラス症候群」。不自由な一時避難では、食事や水分を十分に取れない状態が続いた上に長時間、シートに座っていて足を動かさないと血行不良が起き、血液が固まりやすくなります。その結果、血栓(血の固まり)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。
予防するためには
1.軽い体操やストレッチ運動を行う
2.十分にこまめに水分を取る
3.できれば禁酒・禁煙を
4.ゆったりとした服装で休む
5.かかとやつま先の上げ下ろし、そしてふくらはぎを揉む
6.睡眠時はできる限り足を上げる
といったことが推奨されています。
就寝時の姿勢については、フロントシートの背もたれを倒すだけでなく、少しでもフラットな状態に近づけ、足を上げる工夫によって、リスクは大幅に低減できます。