辰年の株式市場は、まさに“昇り龍”のようなスタートを迎えた。日経平均株価は「バブル超え」の史上最高値を通過点に、さらなる上値を目指すとの観測も多い。たしかな実力で「世界一」を狙う日本企業に、国内だけでなく海外の投資家も注目している。【前後編の後編。前編から読む】
日常生活で身近な「食」の分野では、日清食品が即席麺のジャンルで世界一を争う。
現状は中国の康師傅(カンシーフー)が世界シェア1位で、インドのインドフードも含めた3者がシェア争いを繰り広げる。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「人口が多い中国やインドの企業と売り上げでは拮抗しますが、フードテクノロジーは圧倒的に日清が上回ります。例えば、国内で発売中の『完全メシ』は栄養素とおいしさのバランスを兼ね備えることをウリにしているが、その両立は非常に難しいことで、技術力の賜物といえる。さらに今後は、動物性の原料を使わない技術の開発を目指しており、ビーガンや宗教上の理由で肉が食べられない世界中の人々を取り込むことも期待できます。世界に冠たる老舗の巨大メーカーでありながらパイオニア精神を失っていない」
テレビCMでも馴染み深い求人サイト「indeed」を手がけるリクルートも、人材派遣業界で存在感を放つ。世界ではランスタッド(オランダ)、アデコ(スイス)、マンパワー(アメリカ)などの巨大企業を抜き去る未来を目指す。経済評論家の有森隆氏が語る。
「リクルートがアメリカの求人サイトだった『indeed』を買収したのが2012年。その後、『仕事探しはindeed』『バイト探しもindeed』というキャッチーなテレビCMを洪水のように打って知名度を高めました。今や世界で月間2億人以上が利用するドル箱に化け、リクルートは“人材業界のグーグル”と称されてもいる。日本企業が成功した数少ない海外M&Aとしても称賛されています」