NYダウやS&P500が史上最高値を更新した一方で、ナスダック総合指数はいまだに最高値に届いていない。その違いから何が読み取れるのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが主要指数の特徴を踏まえて読み解く。
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米国株式市場は、1月22日にNYダウとS&P500が史上最高値を更新しましたが、ナスダック総合指数はまだ以前の最高値(2021年11月)に5%程度、届いていません。今の米国株の上昇は、特にエヌビディアなどの半導体株が牽引しています。一方、ナスダックにはハイテク株が多く上場しています。この背景を分析し、解説していこうと思います。
主要3指数の中で遅れを取っているナスダック総合指数
まず基礎知識として、米国株式の代表的な3指数の特徴を説明します。NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数は、構成銘柄数に大きな違いがあります。
NYダウは代表的な30社の株価平均で幅広い産業をカバーし、S&P500は500社の大企業株により市場の多様性を示します。一方、ナスダック総合指数は約3000社の多種多様な企業で構成され、特にテクノロジー企業が多く含まれています。
前述のとおり、他の2指数が高値を更新したにもかかわらず、ナスダックはまだ最高値を更新できていません。これは必ずしもハイテク株が遅れているわけではなく、市場の複雑な動きを反映していると考えられます。
上位100銘柄で構成されるナスダック100は史上最高値に
ナスダック総合指数が最高値を更新できていない一方で、ナスダックの上位100銘柄で構成されるナスダック100はすでに最高値を更新しています。
つまり、ナスダック総合指数に含まれる中小規模の企業が、何らかの経済的なリスクに直面している可能性が考えられます。規模の小さい企業は利上げによる資金調達コストの増加などの影響を受けやすく、市場の不確実性が株価に影響を与えている可能性もあるでしょう。
このように、ナスダック市場は、大手企業と中小企業の市場内の企業間パフォーマンスの格差が拡大している様相を示しています。