新NISAも始まり、株式市場も活況を呈しているが、「個別株投資がことごとくうまくいかない」と嘆いている投資家もいる。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏もその一人。株式投資で大損しているわけではないが、「きっとこの株は上がるはず!」という予想が当たったためしがないのだという。中川氏が自身の株式投資の経験を振り返る。
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実は私、10年ぐらい前から株式投資をやっています。その間、日経平均株価は2倍以上に上昇しており、「史上最高値更新の日も近い!」なんて言われていますが、私の戦績はというと、1000万円の元手が今は1100万円になった程度です。黒字にはなっているものの微々たるもの。黒字になった株は、「数日前より下がっているけどこの会社の実力ならその数日前のレベルにはすぐ戻るだろう」とあまり深く考えずに買った株です。日清食品ホールディングスやNTTドコモ、トヨタ自動車などがそれに当たります。
しかしながら、「これからの社会はこう変わるだろうから、関連企業であるこの会社の株は上がるはずだ!」というひらめきや予想が当たったためしがない。
まず、2015年に電通グループの株を買いました。日本一の広告会社である電通は、翌年に迫ったリオオリンピックで多くの売り上げが見込まれていました。2018年のサッカーワールドカップロシア大会もあるし、さらに2020年には東京五輪もある。もう、電通に死角はないはずだ!といった気持ちがあったのです。
ところがリオ五輪が始まってもなかなか株価が上がってくれない。それどころかジワジワと下がり続け、4900円ほどだった株が3900円台になってしまった。その後5000円近くまで復活したりはしたのですが、その頃忙しくて証券会社のサイトにアクセスをしていなかったところ、パスワードを長期間変更していないということで利用制限がかかってしまいました。そうなると完全放置という段階が続き、今に至っています(現在の株価は3900円前後)。
電通の場合は、確かに五輪とワールドカップで多額の売り上げはあるでしょうが、マスメディアの広告費が右肩下がりになっているわけで、株価が急に跳ね上がるような状況になかったのでしょう。なにしろ本業は広告の仲介業なのですから。