JALCOホールディングス(6625)
パチンコホール向け貸金業、不動産賃貸、設備機器販売、M&A仲介・コンサルを手掛ける同社。1月15日に発表した2024年3月期業績の上方修正は、従来予想に比べて売上高+43.5%、営業利益2.3倍、経常利益3.3倍、最終益2.6倍、EPS2.6倍というものであった。
ここまでの大幅な業績修正は非常に珍しい。それを実現させたのは、大型M&A案件の成立見込みである。上方修正に伴い、通期の業績予想は、前年比で売上高2.6倍、営業益2.0倍、経常益2.3倍、最終益2.2倍、EPS2.2倍という予想となった。
株価はこの修正発表後から上昇を続け、1月22日の終値で315円と、修正発表前の1月15日の終値286円から見ると31.8%もの上昇を見せている。
同社は、パチンコ業界に対する土地や建物、機器、資金の提供がビジネスモデルの中心で、パチンコ業界が活性化すれば業績が向上する企業である。とはいえ昨今のパチンコ業界で話題になったニュースと言えば、ホール大手のガイアの倒産だ。東京商工リサーチによると、コロナ禍以後、パチンコ店の倒産は増加しており、過去10年での最高レベルとなっている。
最近はパチンコ玉やメダルを使用しないスマートパチンコ(スマパチ)、スマートパチスロ(スマスロ)の人気が高まり、こうした新機種を導入できるかがホール生き残りのカギになると言われている。今後、資金力の乏しいホールの倒産や閉店に加え、合併がさらに本格化していくという見方もある。
業界的に厳しい風が吹いている中で、同社はM&Aに積極的に打って出て急成長を遂げようとしている。現在、時価総額355億円と大きくはないが、代表取締役である田辺順一社長の「10年後の大企業に入りたい人はうちに来てほしい」という発言が示すように、将来的に業界順位を大きく変えて成長していく姿が見られるかもしれない。
アセンテック(3565)
仮想デスクトップ関連の製品開発、販売を手掛ける同社。昨今の企業におけるテレワークや在宅勤務の浸透が、追い風につながっている。
1月18日、今期(2024年1月期)配当で3円の増額修正を発表した。増額修正の理由としては、業績好調に伴い当期純利益が大幅増益となる見通しであると発表している。今期の業績予想は売上こそ横ばいであるが利益は、営業益、経常益、最終益、EPSともに過去最高予想となっている。業績の上方修正こそ出してはいないものの、増配発表翌日の株価は前日比プラス80円となり16.2%高のストップ高を付けた。
この株価の動きには、今後の業績の上方修正への期待が込められていると考えられる。同社が増配発表の際に出した文面には、「官公庁を含む複数の大型案件の受注により、今期末の受注残高が過去最高金額となる見通しのなか、2023 年 4 月に公表した中期経営計画の来期以降の数値目標の達成に向けても、順調に進捗しております」との一文がある。この大型案件の受注残高が売上、利益に計上されたとき、今発表している業績予想を大幅に上回る業績の上振れを期待できるのではないか。
同社の場合、財務健全性も見逃せない。利益剰余金は毎年堅調に積みあがっており、無借金経営を続けている。
業績の上方修正も期待できるうえ、自社株買いや増配を行うための原資も申し分ない。時価総額は80億円ほどの小型銘柄であり、業績拡大による株価へのインパクトも大きくなるはずだ。