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マンションの花壇から花が盗まれた…防犯カメラで確認した犯人を実際に処罰することはできるのか? 弁護士が解説

犯人はマンションの住人じゃなかった…(イラスト/大野文彰)

犯人はマンションの住人じゃなかった…(イラスト/大野文彰)

 騒音やごみ問題など、マンションにおけるトラブルはさまざま。なかには、共有スペースにあるものが何者かに盗まれるというケースもある。そんな時は、どう対処すればよいのか? マンションの花壇から花が盗まれたという法律相談に、弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 うちのマンションには花壇があり、季節の植物を植えています。住人で手入れをし、きれいに管理しているので近所からも評判の花壇です。

 しかし、時々、花を盗んでいく人がいます。張り紙をしても効果がないので、防犯カメラを設置し、確認したところ、犯人はマンションの住人ではなかったので、警察に相談するか迷っています。もし通報して犯人が捕まった場合、罰則はあるのでしょうか。(千葉県・48才・主婦)

【回答】
 刑法の窃盗は、他人の財物をこっそり取ることで成立します。マンションの花壇の草花であれば、マンションの関係者が植栽して手入れしている財物です。そして、マンション関係者の管理下にあることが誰の目から見ても明らかです。その草花をこっそり抜いて持ち去れば、他人が管理する物を無断で持ち出すことになりますから、「他人の財物を窃取した者」として刑法235条の窃盗の罪を犯したことになります。窃盗は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰される重罪です。

 しかし、実際に処罰されるためには、警察が犯人を捜して逮捕し、検察官が窃盗の事実を立証でき、なおかつ処罰相当と判断して、裁判所に正式裁判や略式命令の請求(起訴)を行うことが前提になります。

 そして、検察官の起訴に対し、裁判所が判決や略式命令によって窃盗の事実の有無や処罰の要否、さらにふさわしい処罰の程度を判断して、最終的に処罰が決まります。

次のページ:警察がどの程度犯人捜しや逮捕に力を入れるかは未知数
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