バブル期に記録した日経平均株価3万8915円の最高値の更新が目前に迫っている。その牽引役となっているのが、昭和バブルの荒波を乗り越えた実績を持つ“最強”の企業集団・三菱グループである。
バブル後の最高値を連日更新
今年に入り日経平均株価は連日バブル後の最高値更新を続けている。この背景にあるのが「三菱グループの躍進」だと分析するのは、マーケットバンク代表の岡山憲史氏。
「とりわけグループの『御三家』といわれる三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)、三菱商事、三菱重工業の株価上昇が著しい。MUFGは2020年3月の300円台から1300円台へと3倍以上、商事も2600円台と過去3年で3倍に。重工に至っては9500円間近と過去3年で4倍以上に上昇しています」
約4000の関連会社と87万人の従業員を抱える三菱グループは、総売上高が69.3兆円にのぼるという(『週刊東洋経済』2020年3月21日号を参考)。三菱関連企業の株価が上昇することで、日経平均を大きく押し上げているというのだ。
株高を裏付けるように各企業の業績も好調だ。三菱重工はガスタービンで念願の世界シェアトップとなり、2024年3月期は10年ぶりに過去最高益を更新する見通しとなった。
その他のグループ企業も好調で、株価上昇トレンドを描く企業が多い。石油最大手ENEOSホールディングスもそのひとつ。2024年3月期の営業利益は前期比49.3%増、純利益は同66.9%増と大幅な増益を見込む。
「非鉄金属大手の三菱マテリアルは、電子機器類の廃基板からレアメタルを取り出してリサイクルする取り組みで、2024年3月期の経常利益は前期比2.2倍の見通し。三菱製紙は、値上げが奏功した他、工場の省エネルギー化など経営改善が進み、2024年3月期の営業利益は前期比6.2倍にまで膨らむ見込みです」(同前)