挑戦者であること
三菱グループの株価上昇について、経済ジャーナリストの河野圭祐氏が語る。
「グループ全体として伝統的に輸出主体の重厚長大の要素が強い企業が多く、円安が追い風になっているのは間違いないですが、それ以上に絶えず新しい挑戦をしていることが大きい。
三菱商事は5000億円を投じて再生エネルギーに強いオランダの電力大手を買収するなど、脱炭素化へのチャレンジを行なっている。これは国策に沿った大きな取り組みで、投資家からも注目を集めました」
経済ジャーナリストの福田俊之氏も、「地球温暖化防止のためのカーボンニュートラルなど、グループ全体で時代の変化に対応するための質の高い経営戦略を描き、収益力の向上を図っていることが要因だろう」と分析する。
三菱グループの株価好調を下支えしているのがMUFGだというのは、月刊誌『経済界』編集局長の関慎夫氏。
「三菱グループは企業間取引から一般消費者向けまで、川上から川下まで幅広い分野をカバーしている。そのなかで他の企業グループよりも優位性が目立つのは、MUFGという手堅い金融機関を擁している点。金融情勢がどんなに不安定でも懸念なく決済できる。MUFGの経営安定度の高さが、他の企業グループを上回る安定感をもたらしている」
それにより巨大な三菱経済圏が完成し、中核企業から子会社、孫会社、ひいては日本企業全体を底上げする好循環が生まれたのだ。
※週刊ポスト2024年2月9・16日号