株式市場において、明確な根拠があるわけではないけれど、ある時期は株が上がりやすい、下がりやすいという経験則のようなものを「アノマリー」と呼ぶ。具体的にアノマリーにはどのようなものがあるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第78回は、「株式市場のアノマリー」について。
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株式投資をする上で、知っておくと便利なのが「アノマリー」です。「アノマリー」というのは、なぜそう動くのか理論的には説明できないけれど、なぜかいつもそういうふうに株価が動きやすい現象のことを言います。合理的には説明できないけれど、過去のデータや季節性などの法則性に基づくものもあるため、投資家としては無視するわけにはいきません。
アノマリーが広まり、多くの投資家が信じるようになると、ますますアノマリー通りに株価が動きやすくなるため、投資戦略としても有効なものも多いです。
代表的なアノマリー
【1月効果】
12月に株価が下落して、1月には上昇する確率が高いとされるアノマリー。税金対策として12月に売りが出やすい一方で、年明けには新規の資金が流入しやすいとされています。実際、今年も1月は大きな資金が入ってきて、株価は大幅上昇しました。
【節分天井・彼岸底】
節分頃に高値をつけてから、彼岸ごろの3月中旬に底をつけやすいこと。これは多くの日本企業で第3四半期決算が行われる2月上旬に株価が上昇し、その後材料出尽くしで下落するためと考えられています。
【セルインメイ】
4月に高値をつけて、秋口にかけて調整する傾向があるため、5月には株を売り逃げろという意味合い。これは「ハロウィーンに戻ってこい」というアノマリーとセットになっており、米国では10月のハロウィーンシーズンがファンドの決算期で株価も下がりやすいため、そこで株を仕込んで、5月に売る流れが効果的とされています。実際、昨年は米国で10月の月末に株価が底をつけました。
【夏枯れ相場】
サマーバケーションで市場参加者が減るため、流動性が低くなり相場があまり動かなくなること。
【クリスマス(年末)ラリー】
年末のホリデーシーズンにかけて株価が上昇するというアノマリー。クリスマス休暇を取る人が多く、市場参加者が減るため、売る人が少なく株価がさがりにくいとも言われています。