「オーインにいって医者になるんだ」
A子さんは早稲田大学の同級生と結婚し、二人の子どもがいる。
「姉が桜蔭出身で医者なんですよ。独身のせいか、娘たちをめちゃくちゃかわいがっています。娘も姉が大好きで小学3年生の時に『私もオーインに入って医者になるんだ』と言い出したんです。希望も変わるかもしれませんが、本人が勉強をするというんだからまあいいかと塾を検討し出しました」
A子さん自身は中学受験をしていない。
「姉が深夜まで勉強をするのを見て、自分には無理だと尻ごみしてしまったんです。あんなふうにガリ勉はできないなって思い、公立中学に進んで高校受験をしました。ただ、一貫校の方が余裕があっていいなと思いました。姉は高校までずっと部活をやっていて、バスケ部のエースだったから下級生から人気があったみたいです。公立小学校で姉はいじめられていたんですが、桜蔭では“イケてる子”の扱い。私の長女も空気が読めないタイプで小学校で浮いているので、桜蔭とかがいいのかなと思ったんです」
まず、娘が3年生の秋ぐらいから、いろんな塾のテキストをメルカリで買ったり、ママ友から借りたりして、目を通したという。
「SAPIXやグノーブルはテキストが素晴らしいですね。“これでもか”というほど復習が繰り返し織り込まれています。たとえば、旅人算を習ったとしましょう。3週間ぐらいすると忘れてきますよね。その頃に宿題で旅人算の復習が入ってくるんですよ。これだと生徒は忘れないで旅人算をマスターしていきます」
一方、他の大手塾のテキストはそこまで緻密に復習が入ってこないので、自分で工夫をして復習をやっていく必要がある。しかし、そんなことを小学生が自分でやるのはまず無理なので、SAPIXのテキストは有利になる。
彼女はこうも話す。
「SAPIXやグノーブルは6年生からは思考力問題(難関校で出るような難問)の量が多いのが特徴です。国語も長文が多くて、こなしていけば、今どきの本を読まない子たちも読解力が育つと思います」
他にも中小や中堅の塾で、難関校対策に強い塾もあるが、それらは検討しなかったのだろうか。
「まず地理的な問題ですね。通塾しやすいかどうかは第一条件だと思います。SAPIXは大手なので校舎が多いから通いやすいんですよね。やっぱりいろいろと考えると大手にはメリットが多いんですよ」