希望給与額は“ふっかける”が吉
ただしその経験をアピールするための「履歴書」には、シニアだからこその注意点がある。
「採用担当者にとってみれば、シニアというだけで“目上のかた”です。本人にそのつもりがなくてもどうしても偉そうに見えてしまうので、履歴書に表彰歴などを書いてアピールするのはやめましょう。勤めていた会社の規模など、自分の実績とは関係ないことも“ただの自慢”になってしまうので避けてください。
かといって、謙虚すぎるのもマイナスです。シニアの場合、給与の希望額を低く出すと『短時間勤務を希望している』と思われて落とされることが少なくないのです」
書くべきなのは、「元気なうちはずっと働き続けたい」「70才まで働くつもり」といった気持ち。採用側からすれば、同じ60才でも、65才で辞めるつもりなのか、75才まで働く意思があるのかで、評価が大きく変わってくるからだ。
また、職探しの“場”も重要。ハローワークや大手求人情報誌、求人サイトにも「シニア向け」と銘打ったものはあるが、それでは不充分。それらは「シニア“も”採用している」という意味のことが多い。限られた採用枠を若者と取り合わなければならず、応募から合否までに数週間から、下手をすれば数か月も待たされるケースも少なくない。「シニア専門」とうたっているものを活用してほしい。
そして忘れてはならないのが、初動の早さだ。社会保険労務士の北山茂治さんが語る。
「再就職するつもりがあるなら、定年後に“とりあえず1年くらいゆっくりしよう”というのは要注意。シニアの再就職市場におけるブランクの影響は大きく、退職から時間が経てば経つほど採用されにくくなるため、できれば半年もあけない方がいい」