踏切や電信柱に人が殺到
まず中島さんが挙げるのは“西”の観光地だ。
「日中を結ぶ定期航空便がコロナ禍前の6割程度しか回復していないこともあり、航空券は総じて割高。ただ、羽田・成田便より、関空便が比較的安いこともあり、関東よりも近畿地方を旅行する中国人が増えている印象です」(中島さん・以下同)
関西の観光地として真っ先に思い浮かぶのが京都だが、そこでも“マイナー嗜好”が見られるという。
「金閣寺や清水寺など名所はパスして、市内の古着店やセレクトショップ、お茶の専門店巡りなど、自分の趣味嗜好に沿ったマニアックな旅行を楽しむ中国人が増えています。また、若狭湾に面して海に浮かぶように立ち並ぶ舟屋で知られる伊根町も、コロナ禍後に中国人観光客が増えているスポットの1つ。京都以外では紀伊山地の熊野古道や少し足を延ばし、広島県の尾道や瀬戸内海の島々を気ままに散策する観光客も少なくありません」
このように分散しがちな旅行者たちが、例外的に集中する可能性があるのが、「人気漫画・アニメの舞台」だという。
「日本の漫画やアニメは、中国でも根強い人気があります。踏切や電信柱など、そこに描かれている日本ならではの風景は彼らの心に刻み込まれており、実際の場所を訪れる『聖地巡礼』をいちばんの目的に訪日する旅行者は多い」
実際、昨年大ヒットした映画『THE FIRST SLAM DUNK』のテレビアニメ版に登場する江ノ島電鉄・鎌倉高校前の踏切は、中華圏からの旅行客を中心とした「巡礼者」による混雑が問題となり、昨年9月から鎌倉市が「交通誘導員」を常駐させている。
※女性セブン2024年2月22日号