志望大学への合格を果たした息子への「お祝いの手紙」を元に、同世代の若者たちに向けた働き方・生き方指南書『経済評論家の父から息子への手紙』(Gakken、2月15日発売)を書き下ろし、今年1月1日にこの世を去った経済評論家・山崎元さん(享年65)。
「貴君には早く大人になって欲しい」──18歳になったばかりの息子への言葉は、大人になる準備ができていない世間一般の若者たちへのエールにも聞こえる。
経済評論家である父から息子へ、そして世の若者たちへ遺したのは、「稼ぎ方」や「お金の増やし方」など、厳しい現実社会を生き抜くための具体的かつ実践的なアドバイスだ。
山崎さんが読者として想定した大人未満の世代にはもちろんのこと、20代、30代、そして40代、自らの働き方や人生プランに不安を持つ人たちにとっても、道を切り拓くための数々のヒントが綴られた本書。ここでは、多くの世代・層にとって興味深い問題であろう「キャリアプランニング」に関する手引きを抜粋して紹介する。【前後編の後編。前編から読む】
目次
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かつてと今とで、働き方は変わったが、人間の方は大きくは変わってはいない。組織人を前提としたキャリアプランニングで意識すべき3つの年齢は今も案外変わっていない。命令形で箇条書きにすると以下の通りだ。
・28歳までに、自分の「職」を決めよ
・35歳までに、自分の人材価値を確立せよ
・45歳から、セカンドキャリアについて準備せよ
28歳は、30代前半を活かすためのタイムリミット
ビジネスパーソンの能力上の全盛期はズバリ30代の前半だ。仕事を覚えていて、体力もあり、まだフレッシュな感覚が残っている。組織人でもフリーランスでも、この時期には仕事のチャンスが多く、仕事の実績を作るのに適した時期だ。この時期を仕事を覚えてから迎えたい。
新しい仕事を覚えるには「集中的な努力で2年」と考えると、自分の「職」となる専門分野を決めるタイムリミットは30歳-2年=28歳だ。また、28歳くらいから全く新しいことへの適応能力が目立って衰えることが多い。
就職後にも「職」選びに試行錯誤をしていいが、28歳くらいまでを目処と考えておきたい。
35歳で人材としての評価が定まる
30代になると、能力上も実績上も個人差が大きく開く。そして、組織内でも、業界内でも、「この人物はできる(できない)」、「大物である(小物である)」といった個人の人材価値に対する評価が定まるのは、ほぼ35歳だ。大組織の場合、出世などで目に見える差がつくのはもう少し後だが、人材評価は35歳くらいの時点でほぼ固まっている。
35歳までに人材としての価値を完成させることを意識したい。