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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

タイに滞在して実感する“若者の海外旅行離れ”「日本の方が治安がいいから海外に行く必要ない」という言い訳はもう通用しない

タイでもすっかり、日本の若者を見かける機会が減ったという(Getty Images)

タイでもすっかり、日本の若者を見かける機会が減ったという(Getty Images)

 いまの日本には多くの外国人観光客が訪れるようになったが、一方の海外では日本人、特に若い世代の観光客を見かける機会が減っているという。可処分所得が増えない状況で物価高が進み、くわえて昨今の円安トレンドで、海外旅行は完全に贅沢なものになっている。

そうした状況を海外で実感しているのが、現在、タイに長期在住中のネットニュース編集者・中川淳一郎氏だ。中川氏曰く、「かつて日本人の若者が大量にいたバンコクで日本の若者をほとんど見なくなった」という。「若者の海外旅行離れ」の現状について、中川氏がリポートする。

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 私はいま、タイに滞在中です。そりゃあ日本人だっていますよ。でも、日本人をよく見かけるのは、駐在員とその家族が多いスクンビットや、駐在員男性が行くキャバクラ的な店や日本食飲食店が立ち並ぶターニャ通りです。かつてバックパッカーが大挙してやって来ていたカオサンロード周辺や、王宮を中心としたバンコク屈指の観光地から、めっきり日本の若者の姿が見えなくなったということです。

 2月中旬現在、中国の「春節」にあたることから中国人観光客が多いことと、元々白人・インド人・イスラム系が多いことは理解していましたが、日本人よりも韓国人のほうが目立つ状況にあります。

 その背景には、円安や物価高など、様々な要因があるのでしょうが、このような「日本人が海外旅行に行かなくなっている」といった記事が出ると、ネットでは以下のような反論や言い訳が来るのが、この10年以上定番でした。

「日本の方が海外より治安はいいし、食事はおいしいし、日本語が通じる。なんでこんないい国からわざわざ出る必要があるんだ? お前らはただの『海外厨』『海外出羽守』だろ(笑)。そして日本は英語を学ぶ必要もないぐらい日本語だけでキチンとカネを稼げる国なんだよ。東南アジアと一緒にするな!」

 海外に日本人が行かないことを憂慮すると、このように開き直る方々がとにかく多い。そんな中、「アメリカではバイトの時給が5000円」といった記事も見かけるわけで、それなら1年間のうち、アメリカで11ヶ月で1400万円ほど稼いで節約生活をして、日本に1ヶ月帰って貯金を日本の銀行に入れる、というライフスタイルもアリではないかと思うのです(もちろん税金をしっかり払うのは大前提)。

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