自動車の燃費や排ガス規制、EVの優遇措置も撤廃していくといい、これも日本に追い風になる。
「前回のトランプ政権ではトヨタが狙い撃ちされたが、言い分はシンプルだった。大量の自動車を輸出して米国の自動車産業を駆逐するのはダメだが、米国に工場をつくって雇用を生むなら認めるというスタンスです。輸入品に10%関税が課せられれば日本の自動車メーカーにも厳しいが、EVの優遇措置撤廃はむしろチャンスです。
日本のメーカーはEV化で出遅れているから、ガソリン車への規制がなくなればトランプ政権下で日本の国際競争力が高いハイブリッド車などを最大の自動車市場である米国で売ることができる。中長期的には世界のEV化の流れは止まらないにしても、日本の自動車産業にとってEVなどにシフトする時間を稼げるメリットは非常に大きい」(森岡氏)
さらにトランプ氏は日本に防衛力強化を求めている。
「日本に米国の防衛装備を買えというだけでなく、日本独自の軍備拡張を求めてきました。日本政府は防衛費を大幅に増やしており、日本の防衛産業にとっては稼ぎ時になるでしょう」(同前)
米国がウクライナ戦争支援から手を引けば、台湾海峡の緊張が高まるとの見方が強い。第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストはこう見る。
「台湾海峡有事のリスクが高まれば、日本にも貿易面で影響が出る。経済全体にはリスク大だが、台湾の半導体企業TSMCが生産拠点の一部を熊本県の工場に分散化しているように、さらに日本国内に移す可能性もある」