河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

【航空業界2030年問題】パイロットの大量退職に加え整備士・空港業務従業員も人手不足に陥る“エアライン危機”

 ランプハンドリングの57.5%、旅客ハンドリングの84.0%は30代以下となっている。従業員は若い世代が多数を占め、女性も多いが、近年は志望者が少なくなっている。背景にあるのは待遇面の低さだ。平均年収(2023年4月)は約357万円(平均年齢35.6歳、うち半数近くは20代以下)と低い。

 運航本数によって仕事量が変化することや、休憩室が屋外に設置されていたり、女性用の更衣室がなかったりといった労働環境の悪さもあってコロナ禍をきっかけとして別の仕事に転職した人が少なくなかった。

 空港業務に関しては保安検査員の不足も進んでいる。保安検査業務を行っている20社で見ると2020年4月は約7400人だったが、2023年4月には約5700人と2割強減った。

 すべてのレーンを稼働させることができず、空港が混雑する風景が珍しくなくなったのも、こうした理由からだ。

後編に続く

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。

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