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【相続の手続き】「揉めないために」「権利を主張するために」知っておくべき制度の数々 配偶者居住権、特別受益の持ち戻し、未分割の申告など

相続をうまく進めるために知っておきたい制度の数々を紹介(写真/AFLO)

相続をうまく進めるために知っておきたい制度の数々を紹介(写真/AFLO)

 遺言書の作成や相続税対策、生前整理などが比較的余裕を持って進められるのに対し、「死後の手続き」はタイムリミットがあるなかで速やかに進める必要がある。例えば、親に借金があって相続放棄をしたい場合や借金総額がわからず相続で得られるプラスの財産の範囲内で負債を弁済する「限定承認」を申し立てたい場合には3か月以内に手続きをしなければならないのだ。

 このように、「死後の手続き」には様々な時間的制約がある。だからこそ手間を減らして楽をするための“武器”となる制度を知っておきたい。

 親が公正証書遺言を残しているかどうかは公証役場の「遺言検索システム」で確認できる。自筆遺言証書も法務局の保管制度を利用しているなら「遺言書保管事実証明書」の交付を請求して確認が可能だ。

 相続した財産の名義変更などのたびに故人の出生から死亡までの戸籍謄本を揃える手間を省くには、必要書類を揃えるのが一度で済む「法定相続情報証明制度」(法定相続情報一覧図の認証文付きの写しの交付)を利用するのが望ましい。また、今年3月には本籍地以外の市区町村でも戸籍謄本が取得できる「戸籍謄本の広域交付」もスタートする。

 親が所有する資産を調査していく際に活用したいのが不動産の名寄帳だ。相続・贈与に詳しい税理士の山本宏氏が説明する。

「市区町村が作成している固定資産課税台帳をもとに、その人が所有する不動産を一覧表にまとめたものです。特に地方で不動産を相続する場合は、名寄帳を取っておくとよいでしょう。周辺の土地が財産目録から漏れていたり、親の兄弟との共有になっていたりと、親が認識する“自分の土地”と実際の登記がズレていることは多い。固定資産課税明細書だけ見ていると、非課税の私道が確認から漏れることもあります。市町村役場の資産課税課に郵送などで請求しましょう」

 問題となるのは手続き上の手間だけではない。遺言書がない場合、相続人同士で話し合って合意したうえで遺産分割協議書を作らなくてはならない。原則として、相続税の納付期限である10か月以内に協議を終えて納税する必要があるが、うまく進むとは限らない。

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