「法定相続人を知る」がすべての第一歩
相続においてもっとも優先されるべきことは「手続きを円滑に行うこと」だと、専門家たちは口を揃える。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。
「相続とひと口に言っても、自分が相続するのか、子供に相続させるのかなど、それぞれの状況によって優先すべき事前準備は変わってきます。ですが、どんな相続のパターンでも共通して必ずやっておくべきことが『法定相続人の把握』です」
もっとも多くの専門家が満点をつけて挙げたのがこれ。「誰が相続するのか」がわからなければ、何も始めることができない。
税理士の板倉京さんが言う。
「中には、亡くなった親が実は再婚で、再婚前にできた子供がいたことが相続時に発覚するなど、想定していなかった法定相続人が出てくるケースもあります。いまの親世代はきょうだいが5人以上の家庭も珍しくありませんでしたし、亡くなったきょうだいの子供が代襲相続人になっていて手続きが難航するケースも考えられます。
相続人が多すぎたり、その中の誰かが海外在住で連絡先がわからないなど、予想外のことが起こるかもしれない。そのため、何よりまず、相続人を把握しておくことが先決です」
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