生命保険が有効な相続の準備に
「生命保険の受取人の把握」も重要事項として10位になっている。
「受取人が亡くなっている場合は、受取人の相続人が次の受取人になります。本当に渡したい相手にお金が渡るようになっているか確認し、必要があれば受取人の変更手続きまで済ませておくべきでしょう」(明石さん)
一方で、新たに生命保険に加入することが有効な相続の準備になる場合もある。税理士の大田貴広さんが言う。
「生命保険の保険金は法定相続人1人あたり500万円まで非課税になるため、例えば妻と子供2人がいるなら合計1500万円まで相続税がかからなくなる。税率30%なら、450万円も得する計算です」
負の相続を早めに清算しておく
ベリーベスト法律事務所の弁護士・遠藤知穂さんは8位に入った「負の相続を清算しておくこと」の重要さについて説明する。
「借金など負の相続財産が多い場合は、相続を放棄するという手があります。ですがこれは亡くなってから3か月以内に手続きする必要があり、もしそれ以降に新たな債務が判明した場合、相続放棄のハードルが高くなってしまう。負の財産がある場合は、早めに整理しておいた方がいいでしょう」
整理しておくべきマイナスの財産は借金だけではない。多くの人が見落としがちなのが16位の「不要品の整理」だ。
「そこまで準備が行き渡っている人は、そう多くはありません。私自身、自分が相続する際に直面したことがありますが、何を処分していいかわからず、心も痛むので、残された家族が不要品を片づけるのはとても負担が大きい。先送りせずに、元気なうちに済ませておいてほしい」(板倉さん)
とはいえ、子供から見れば不要品でも、親からすれば思い出の品。手放す気持ちになれない親にどう処分を促すべきか。
「ものを捨ててと言うのではなく一緒に片づけようと呼びかけて、思い出を語りながら整理するようにするといいかもしれません」(三原さん)
(後編につづく)
※女性セブン2024年3月14日号