21世紀は消費者問題新時代
インターネットが普及する2000年前後から、消費者問題は様相を変える。
「クリックしただけで有料アダルトサイトにつながって料金を請求されたり、アダルト画像の利用料を架空請求される被害が増大。2004年には約192万件という過去最多の相談件数を計上しました」
2012年には、芸能人や弁護士などになりすました“サクラ”が消費者を出会い系サイトに誘導し、金銭を騙し取る「サクラサイト商法」が拡大。
「その後は、海外事業者のバイナリーオプション取引(為替の変動を予想した投資)でのトラブル、マイナンバー制度がスタートした2015年には、個人情報削除をもちかける詐欺が急増しました。そして、2016年に相談件数が増加した健康食品の定期購入トラブルは、現在もメインの相談案件となっています。
被害が減らない要因の1つは、被害金額が高すぎないという点もあると思います。大がかりな詐欺事件と比べれば、化粧品や健康食品の価格は数千~数万円、高くても20万円程度と、『まあ、いいか』と諦めてしまう金額設定です」
さらに、商圏が海を越えて広がっていることも大きい。もはやどこの国の人なのか、性別すらわからない相手とやりとりしているのが現実だ。消費生活センターと同様の相談機関である『NACS(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)』理事の丹羽典明さんが語る。
「まるで実体のないバーチャルな取引をしているようなものです。海外のロマンス詐欺に遭った被害者に『相手の顔や会社の場所は知っているの?』と聞くと、『LINEしか知らない』と言う。それなのに、信じてしまうんですから。
インターネット通販や出会い系サイトを否定するものではありませんが、せめて“どこの誰ともわからない人にお金を渡している”という自覚を持つことです」