中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

厚労省「飲酒ガイドライン」発表でお酒の広告どうなる? 「JTのようにマナー啓発CMばかりになる」流れも

ビールが注がれる表現すら禁止されている国も

【表】海外のガイドラインに記載のある飲酒量。アメリカでは1日に男性28g、女性14gと記載(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」より)

【表】海外のガイドラインに記載のある飲酒量。アメリカでは1日に男性28g、女性14gと記載(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」より)

 厚労省の今回のガイドラインをめぐっては、「大腸がんと認知症を発症させる→あなた自身が苦しむし、あなたの大事な人が苦労する」というメッセージが込められています。そうなると、酒類の広告では、以下に紹介するこれまでの定番表現がしづらくなるかもしれません。基本的に酒の広告というものは、ポジティブな文脈で表現されてきていました。

・仲間との楽しい会合
・頑張った後の自分へのご褒美
・夜、寝る前に一人で楽しむ
・家族・カップル同士の穏やかな夜に乾杯
・馴染みの飲み屋へ行き、女将やママに癒される
・何かを達成した後、その偉業を仲間と酒とともに分かち合う
・何か辛いことがあっても酒により少しは気分がラクになり、明日への活力となる
・大人になった象徴として、しみじみと酒を味わう

 これらはいずれもポジティブな文脈ですが、厚労省のガイドラインは首尾一貫してネガティブ。彼らのメッセージを乱暴に訳すと「お前ら酒なんて飲んでるんじゃねーよ。命が一番大事なんだよ。周りに迷惑をかけるな。断酒は無理だろうがせめて少量にしろ!」となるでしょう。先日、広告会社社員にこのガイドラインがもたらす影響について聞いたところ、次のように言いました。

「海外では、ビールがトクトクと注がれるような表現は『シズル感』があるとして禁止されている国もあります。飲酒の推奨自体が時代に反するとされると、直接的な表現は避けたブランド広告の意味合いがより強まっていくのではないでしょうか」

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