外食やスーパー・コンビニの総菜・弁当でマズいものを食べた時は、「とんだムダ金を使ってしまった……」と虚しく感じるもの。世の中にはおいしい食べ物がたくさんあるが、一方でマズいものだってたくさんある。今まで食べた一番マズいものはなんだろうか? ネットニュース編集者の中川淳一郎氏がこれまで食べたマズいものを振り返る。
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東京農大名誉教授の小泉武夫氏の名著に『不味い!』というものがあります。同氏はうまいものがあればマズいものもあるわけで、味覚文化を考えるうえで、それを取り上げることは必要だと述べます。けだし名言です。
さて、2023年春にタイ・バンコクで食べたトルコ料理はとにかくマズかった。トルコ料理やレバノン料理を含めた中東系の料理はどこで食べてもハズレはないと思い、とあるトルコ料理店へ行ってみました。入った瞬間に若干イヤな予感はしました。一部の蛍光灯はぶっ壊れていて光がチラチラと点滅している。客は一組だけで、2人の従業員はインド人。
メニューを見てみると、約40%が「Not available」というシールが貼られている。本来トルコ料理ではシシカバブやドネルケバブは定番で、それを食べるために行くものですが、ことごとくこれらがNot availableとなっている。結局肉類でavailableなものは、羊肉の角切りケバブとチキンケバブのみとなっています。
仕方がないので羊肉の角切りケバブを頼んだらそれもない、と言う。ヤケクソになって、ビールとチキンケバブと羊飼いのサラダを頼みました。元々狙っていたレンズマメのスープもないという。羊飼いのサラダとは、みじん切りにしたキュウリ・トマト・タマネギに、酢とオリーブ油とレモン汁と塩胡椒をかけたもの。ピタにヨーグルトソースを塗り、ケバブとこのサラダを巻けば絶品料理となります。