しかし、傷害の程度によっては、姪御さんの不利益は免れません。具体的には刑事処分のほか、治療費などの損害賠償請求を受けることです。これに対し、痴漢行為への反撃であったことが反論や損害賠償の過失相殺の根拠になりますし、痴漢行為に対する慰謝料も逆に請求できます。とはいえ、今後取り調べ等を受けたり、係争するのが煩わしいのなら示談を検討してもよいでしょう。
いずれにせよ、防衛行為として必要であったことを説明できるよう、痴漢被害や足蹴りの状況を時系列で整理して記録することをおすすめします。
また、目撃者等がいて連絡が取れるのであれば、その人の記憶が薄れないうちに確認しておくと有効です。
電車内での痴漢対策は警視庁のHPを参照してください。まずは、遭わないよう防犯対策するのがいちばんです。女性専用車両を利用したり、時差出勤が難しければドア付近等の混雑の激しい場所を避けてください。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2024年3月14日号