近年、ますます社会問題として議論の俎上に載っているセクシャル・ハラスメント。会社組織でのセクハラが話題となることが多いが、教育現場でも男子学生から女性教員に対するセクハラが続発しているという。都内の有名私立大学で教鞭をとる女性教員A氏(40代)が語る。
「女性学やジェンダー論などを講義すると、一定の学生から強い反発があるのが実情です。これは若い女性教員だけでなく年配の女性教員も含めて起こることです。ジェンダーの固定観念が強い学生にとって、それを覆されることは自己否定にもつながります。
ステレオタイプがもたらす問題に気づくことができ、柔軟に考え方を変えることができる学生がいる一方で、レポートに『こうした講義は男を否定するだけでくだらない』『女子は男より知能も体力も低い存在だから仕方がない』などとコメントを書いてくる学生もいる。もちろん教員側の講義内容も、女性学だけでなく男性学の視点をしっかりと取り入れる必要がある。非常に難しい問題だと思います」(A氏)
関西地方の私立大学で講師を務める女性教員B氏(30代)も、学生からのハラスメントによって不快な思いをすることが少なくないという。
「講義の感想や意見を書かせるリアクションペーパーに、『LINEのID書いておくんで連絡ください(笑)』、『何歳ですか? おれは50歳までイケます!』などと書いてくる男子学生はザラ。なかには名前や学籍番号を書かずに女性の裸体の絵や、言葉にできないような卑猥なイラストを書いて提出する学生もいます。以前、私が講義を受け持った別の大学では、『女に講義されたくない』『女の言うことは聞く気にならない』などと書く学生もいました」(B氏)