新NISA(少額投資非課税制度)では「成長投資枠」「つみたて投資枠」で日本株・外国株・投資信託などに投資できるが、他の投資家たちはどんな銘柄に投資しているのだろうか。マネックス・ユニバーシティ室長・福島理氏が、2023年にマネックス証券のNISA口座で買われた銘柄の動向を分析し、新NISAの投資戦略を解説するシリーズ。第1回は投資信託編。【全3回の第1回】
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新NISAでは「つみたて投資枠」で投資信託を積み立てている人も多いだろう。2023年につみたてNISA口座で買われた投資信託の人気ツートップは、eMAXIS Slimの米国株式(S&P500)と全世界株式(オール・カントリー。通称オルカン)だった。
米国株や全世界株など、海外株式に投資するファンドの人気は高く、上位に多くランクインしている。
一方で見逃せないのは14位のeMAXIS Slim国内株式(日経平均)や15位のニッセイ日経225インデックスファンドなど、日経平均やTOPIXに連動するファンドも上位に入っている点だ。
海外投資家から見て割安な日本市場は、2024年に入っても好調が続いている。今年は日本の金利が正常化に向かうことが予想され、日米金利差が縮まると円高に進む可能性がある。円高は輸出企業にはマイナス要因だが、インバウンド・小売りを中心に内需関連株には追い風で、金利上昇で銀行株が買われる期待も高まる。
好調が続く米国株に連動する形で、日本株も期待できるのではないか。
人気はあるが慎重に検討したい投資信託も
ただし、上位のファンドがすべての投資家に適しているわけではない。たとえば国内外の株式、債券、REIT(不動産投資信託)などに幅広く分散投資する「バランス型ファンド」も人気だが、リスクが低い反面、期待リターンもそれだけ低くなってしまう。
また、成長著しいインド株式ファンドでは、iTrustインド株式が23位に入っている。確かに今は買われているが、10年後、20年後もインド市場が伸びているかどうかは未知数だ。
このような観点から、新NISAでは「つみたて投資枠」で「オルカン」を長期で積み立てるのを王道とし、資金に余裕があるなら米国株や日本株のインデックスファンドを追加する戦略がいいだろう。