家計

Amazonが送料無料の基準引き上げ、利用者から「配送業者を選べるようにしてほしい」の声が出る事情

物流2024年問題もすぐそこまで迫っている(イメージ)

物流2024年問題もすぐそこまで迫っている(イメージ)

 通販サイトAmazon.co.jpにおいて、通常配送での配送料無料となる基準が3月29日より引き上げられる。現在は、通常注文2000円以上で配送料無料となるが、新基準では3500円以上の注文で配送料無料となる。基準に満たない場合の配送料は変わらず、離島を除く本州・四国であれば410円、北海道・九州・沖縄・離島の場合は450円。またAmazonプライム会員であれば、配送オプションに関係なく、配送料は無料のままだ。

 値上げではないが、配送料の基準が引き上げられる今回の措置。ネット上では昨今の物流業界が置かれた事情を理解を示したうえで、〈配送業者の選択やコンビニ受け取りでの受け取り可能なコンビニの種類を増やしてほしい〉、〈配送業者を選べるようにしてほしい〉など、配送業者をユーザーが指定できるようにしてほしいという声も多く出ている。

 現在、Amazonの配送は、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便などの大手のほか、地域の配送業者や個人事業主のドライバーなど、大小さまざまな規模の業者が担当しており、ユーザー側が選択することはできない。業者によってサービスのクオリティーに差があるようで、「指定した時間に届かない」「乱雑な形で置き配された」などという事案も発生しているため、無料配送の条件が引き上げられるのであれば、サービスの質も担保してほしい……という思いがあるのだろう。

差し迫る「物流業界の2024年問題」

 都内のデザイン会社に勤務するAさん(30代男性)は、Amazonの配送についてこう話す。

「仕事で使う本の資料などをAmazonで注文することが多いんですが、最近は到着予定時間を大幅に遅れることも珍しくない。大手の配送業者なら事前に到着予定のお知らせがメールできて、そこで配達時間を指定できるので、全てがそういった業者なら助かるのですが、そうもいかない。期日までに手元にないと困るような資料を買うこともあるので、その日に届くかどうかは重要な問題です」

 一方で、物流・運送業界では2024年問題が差し迫っている。改正労働基準法では、トラックドライバーの時間外労働時間の上限は年間960時間と制限されており、この規定が2024年4月から適用されるのだ。時間外労働が制限されることで、ドライバー1人あたりの走行距離が減り、配送業者の売上減少やドライバーの収入減少といった影響が予想される。その先に予想されるのが、配達の遅延といったトラブルだ。

「物流2024年問題を考えると、再配達は減らさなければならないからこそ時間指定ができる業者に配送してほしい。確実に受け取らなければならないものには配送料を払うし、そうではないものならこれまで通りでいい。そういった選択ができるようになってほしいです」(Aさん)

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