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「病気や天候で休んだことはありません」勤続50年のヤクルトレディに密着 「一人暮らしの高齢のお宅には必ず声をかける」安否確認も

笑顔と元気な挨拶がトレードマークの國分芳美さん

笑顔と元気な挨拶がトレードマークの國分芳美さん

「一人暮らしの高齢の方のお宅には、1本ずつお届けし、必ず声をかけます」

 北海道の真ん中に位置する新得町で50年続ける國分芳美さん(78)も、元々は客だった。前任者にスカウトされ、27歳でヤクルトレディを始めた。

「娘を保育所に預け、多い時は1日500本届けましたね。35年間は自転車、車での宅配は15年前から。仕事が大好きで、運動にもなり、楽しいですよ。悪天候や病気で休んだことはありません」

 現在は町内の家庭や会社・施設など100軒以上を担当する。曜日でルートが異なり、午前中に60軒回る日もある。自宅を拠点に商品管理から宅配まで1人で行ない、見事なハンドルさばきで雪道を進む。

「お客様とお話しできることが楽しみで、仕事がつらいと思ったことは50年間ありません。最も心がけているのは、笑顔で大きな声で挨拶すること。いつも元気な声だねって言われるのですが(笑)、そうでないとヤクルトのイメージは伝わらないと思うので」

一家で50年間ヤクルトを愛飲している。顧客は「必ず声をかけてくれ、いろいろな話を聞いてもらっています」と語る

一家で50年間ヤクルトを愛飲している。顧客は「必ず声をかけてくれ、いろいろな話を聞いてもらっています」と語る

 同行中、ヤクルト1本だけを届ける家が多いのに気付く。

「一人暮らしの高齢の方のお宅には、1本ずつお届けし、必ず声をかけます。宅配時に安否を確認し、お話しする愛の訪問活動(※)を新得町と組んで47年間続けているんです」

【※ヤクルトの『愛の訪問活動』は1972年から始まり、現在は約120自治体と事業契約。2500人以上のヤクルトレディが約3万4000人の独居高齢者を担当】

 これまで家の中で倒れている高齢者を発見、通報したことは幾度もあった。毎日のように訪問するからこそ、玄関に入った瞬間、靴の置き方などで異変を感じるという。

「お客様のコンディションの変化にはすぐ気が付きますね」

國分さんが訪れる時間帯に、厳寒の中、道路脇に出て到着を待っている顧客の姿も

國分さんが訪れる時間帯に、厳寒の中、道路脇に出て到着を待っている顧客の姿も

キビキビしたハンドルさばきで、月曜から金曜まで町内を東奔西走。「今は毎日、Yakult1000を飲んでいます」

キビキビしたハンドルさばきで、月曜から金曜まで町内を東奔西走。「今は毎日、Yakult1000を飲んでいます」

 小野寺さん、國分さんは昨年開かれた「ヤクルト世界大会」で、勤続50年以上を称える永年功労特別表彰を受けた。今朝も全国津々浦々でヤクルトレディが笑顔と元気を届けている。最前線で毎日積み重ねて築き上げた信頼関係と地道な活動があるからこそ、新商品の大ヒットも生まれるのだろう。

撮影/太田真三 取材・文/上田千春

※週刊ポスト2024年3月22日号

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