水とトイレの管理が在宅避難成功の鍵に
在宅避難で最も大切なのが水の確保と管理だ。
「断水していなければ浴槽などに水をためておきましょう」(防災士の草野かおるさん・以下同)
断水に備え、日頃から風呂の残り湯をためておくこともおすすめだという。簡易浄水器を備蓄しておけば、残り湯でも飲み水に再利用できる。断水していたら、備蓄を活用するか、1日1回は避難所に出向き、給水タンク車がいつどこに来るか、情報を集めよう。
地震直後に汚水を流さないことも覚えておきたい。
「排水管の破損に気づかないまま汚水を流すと、逆流して室内に流れ込む可能性が。トイレはもちろん、台所や洗面所も要注意です」
戸建ての場合、悪臭がしたり、床下や天井裏から水滴が落ちる音がすると排水管の破損が疑われるが、マンションは判断が難しいので、安全が確認されるまで汚水は流さないこと。
「流せないと困るのがトイレ。そのため、トイレの代わりになるものは必ず用意を。尿の処理にはペット用トイレシーツが最適です」
便は凝固剤で固めて防臭ポリ袋か食品包装用ラップフィルムに包み、ゴミ収集が再開するまで換気のできる浴室に置いておこう。
不自由でも工夫し、いつもと同じ生活を心がけることがストレスを緩和し、災害関連死の予防につながる。
【プロフィール】
稲垣暁さん/防災士・社会福祉士。沖縄国際大学非常勤講師。1995年に「阪神・淡路大震災」を経験。現在は自身の被災体験をもとに防災啓発、被災地支援活動に取り組む。
草野かおるさん/防災士。自治体などで16年にわたり防災活動にかかわったことがきっかけで防災士に。イラストレーターとしても活躍。著書に『おうち避難のためのマンガ防災図鑑』(飛鳥新社)など。
取材・文/植木淳子
※女性セブン2024年3月21日号