ところが、生き埋めや飛行機事故から生還し、考え直したくなっても、書面による贈与は、もはや撤回できません。
そこで贈与は同じでも、死亡したときに効力が生じる、死因贈与にするとよいのです。
つまり、私が死んだら贈与するという契約です。死因贈与の場合は贈与者の死後、相続人はこの契約を撤回できません。また、死因贈与には、遺言の撤回に関する規定が準用され、贈与者本人は何時でも死因贈与を撤回できます。
なぜなら、死因贈与とは遺言と同様、死後の財産処分に関することであり、できるだけ本人の最終意思を尊重するためです。仮に生還後、気が変われば、死因贈与を止めることも可能となります。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2024年3月22日号