したがって、あなたが請求すれば、動物病院は犬の歯石除去という委任事務の経過や結果について報告する義務があります。具体的には、愛犬の死亡事故の原因や、愛犬が歯石除去施術をする間を含め、預かっている間に死亡した機序(物事の背景にあること)等を説明しなければなりません。
いつまでに説明すべきかは、事故の内容、事故原因の解明度などによって違うので一概に言えませんが、原因がある程度解明できていれば、飼い主の要請に従って、その動物病院は説明をすべきです。
その説明を聞いたうえで、責任についての言い分が納得いかなければ、別の専門家を探して、意見を聞くことも必要になるでしょう。
そして、病院に過失があるということになれば、損害賠償の交渉になりますが、犬は動産で“物(もの)”の扱いになりますから、原則は交換価値(財産価値)で判断されます。しかし、ペットであれば精神的な打撃も大きく、慰謝料として請求することもできます。
なお、報告の求め自体に病院が応じないときは準委任契約の債務不履行になり、損害賠償請求が可能です。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2024年3月21日号